アーティスト:梅原義幸、木下理子、鈴木初音、高橋ヨシ、髙橋美乃里、プーカリン
【展覧会コンセプト】
青とはいったいどのような色彩なのでしょうか。青い空や青い海、若さを表す青春や、悲しみや憂鬱を歌うブルースなど、日常に潜む青は無数に存在しますが、私たちははたして青という色彩を同じように捉えているのでしょうか。
「青」に対する捉え方は、様々な地域で違った方向へと変化を遂げて来ました。歴史をひもとくと、青は古くから人類と深く関わりのある色であり、その認識の幅は広く、キリスト教圏では聖母マリアの純潔を象徴する色として、エジプトでは再生や復活の色として、沖縄に黄泉への境界とされる青い島(奥武島)があり、本州でも青山や青墓など、葬制の地とされる場所に「青」という地名が残されています。一方、ゲーテは「色彩論」の中で、分極性において黄と対置して青を闇(マイナス側)から来る色とし、青はエネルギーを持った色彩であると分析し「最高に純粋な状態では刺激する無である」と述べました。
では、現代に生きる我々は「青」をどのように捉え、何を見出しているのでしょうか。
「ao」と題した今回の展覧会では、同世代の若手作家それぞれが向き合う「青」という色彩についてひもといていきます。展覧会に向けて開かれた「青の研究会」と「青ノート」による分析では、視覚認識としての青にとどまらず、「ao」という音から想起されるイメージや、物質や形態としての青、記号や文化と結びついた青や、気配や空気に潜む青、キャラクターとしての青や、光の現象としての青、など、それぞれのイメージの中から多様な解釈を導き出すこととなります。
色彩は常に我々の目の前に目まぐるしい現象として現れるため、対象に固有のものだとつい考えてしまいますが、色彩はむしろ対象とそれを見るものの合作と言えるのではないでしょうか。それゆえ、色彩のもたらすイメージは我々を映し出しているとも言えるでしょう。同時代に生きる若手作家が見つめる「青」という色彩を表現した作品と向き合うなかで、私たちが「青」から受け取っている今という時代性について発見する契機となれば幸いです。
田坂和実|DUST BUNNY
●トークショー(開催予定)
日時:11月27日(日)16:30~17:30
ゲスト:沢山遼(美術批評家)
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