<スケジュールに関するお知らせ>
この度、3331 CUBE shop&galleryでは、岩竹 理恵による個展「測度空間-urbs」を開催いたします。
岩竹理恵は、普段見慣れている物や具体的な現象を観察し、その本来の機能とは離れてそれらが持つ意味や特性やメカニズムを日常的な素材を使いシンプルな技術で平面作品に落とし込み、抽象化させます。これまで医学書や切手などの断片を組み合わせたコラージュ、写真、版画などの手法で、視覚的に時間と空間の複数の階層を行き来する世界観を捉え、観るものに新たな視点や思考、気付きを与えてきました。
3331 ART FAIR 2018では、レコメンドアーティストに片岡純也とのユニットで選出され、個展「二つの心臓の大きな川」を開催。
今回は作品を通してわたしたちの日常的な風景を切り取り、2次元と3次元との間で彷徨う視覚が生み出す空間の観察、計測を試みます。ぜひこの機会にご高覧ください。
<展覧会に向けて>
電車から景色を見ていたら水平垂直に増殖した街の線がモニター上のグリッドのように見えた。じっ と見ていたら街の建物の集合が視界に充満して奥行き感を遮断した。写真を撮って風景と印刷 紙自体を同時に見ようとしても気まぐれにどちらかしか見えない。同一面上にある画像空間と画材 空間、見ることと見えることの測度空間を観察している。
岩竹 理恵
・・・ー展覧会作品解説ー・・・
アルベルティは絵画の画面を外に開かれた「窓」とした(※)。
私たちは特定の空間が表現された平面の作品を前にしたとき、それを一つの構築された世界と捉える。
しかし、岩竹による今回の試みは「2次元で表現された3次元の空間」という認識を倒錯させる。 都市の像を部分的に剥がしとった写真をプロトタイプとした絵画では、立体物である建物を表現するための面と線が「矩形それ自体」としてリズム感を持って現出する。そこでは絵画空間のイリュージ ョンを認識しようとする私たちの知覚は転覆し、表現された空間と、メディウムとしての平面の狭間を漂流することとなるのである。
本展の脱構築的ともいえる一連の作品には、まるで鑑賞者の背後でほくそ笑むかのような、岩竹の視点が見て取れるだろう。
岩垂なつき(美術批評)
・・・
※レオン・バッティスタ・アルベルティは透視遠近法を理論化した著書『絵画論』の中で、絵を描く面を「一つの開かれた 窓」として説明している。
レオン・バッティスタ・アルベルティ(著)池上俊一・徳橋曜(訳)「絵画論」池上俊一監修『原典 イタリア・ルネサン ス芸術論 上』(名古屋大学出版会、2021年)、293ページ参照。
岩竹 理恵 / Rie Iwatake
南アフリカ共和国ヨハネスブルグ生まれ。筑波大学大学院芸術専攻を修了後、ペルーやパリ、横 浜、台湾などへ転々と移動しながら制作してきた。片岡純也+岩竹理恵としてアーティストユニット としても活動中。最近の展覧会に「MOT アニュアル 2020 透明な力たち」東京都現代美術館 (2020)。
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助成|公益財団法人 小笠原敏晶記念財団
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