<スケジュールに関するお知らせ>
Gallery OUT of PLACE TOKIOでは、9-10月期の展覧会として、中島麦による「lunimous dropping incline」展(抽象・平面絵画+公開制作)を開催いたします。
artist statement
lunimous dropping incline
約3年続けている<luminous dropping>の正方形の画面から離れ、最近は縦方向に細長い作品を制作している。
新シリーズ<luminous dropping incline>では、これまで主題にして来た絵画を構成する根源的な要素としての「動き・奥行き・光」の3つに加えて、「タイムライン( 時間)」を カンヴァスの上で表現しようと試みた。細長い画面になったきっかけは、以前からカンヴァスの側面数cmの幅に垂れる絵具の中にある美しさを見い出していたからだが、それを試す中で「時間の流れ」に気付かされることになった。
意図的に傾けた画面にゆっくりと流し込まれた多量の絵具は、重力の方向へ緩やかな(傾斜角によっては素早く)弧を描きながら流れ落ちていく。
乾いた軌跡の中に多様な表情が現れ、重なる絵具の中に空間が生まれ、色彩は光を纏う。
同時にそれらの関係性が明確に視覚化され「タイムライン( 時間)」を表現することになる。
2020 年になり世界中で発生した未体験の出来事は、様々な既存のシステムを転換し、人間の生きる基底となる五感さえも揺るがし続けている。
私自身にとっても例外では無く、日々の生活や制作活動を根本的に見つめ直さざるを得ないほどに影響は大きい。
眼前の怒濤にただ呆然と身を任せ流されて行くような感覚、抗う事の難しい社会や自然の営み、とどまる事のない時間の流れを、絵具という物質に置き換えて表現すること、それが私にとっての「絵を描く」目的なのかもしれない。
描くという私的な行為が、同時に大河の一滴にもなるのではないだろうか、今さらながらそんなことを思った。
また今回の個展では、鑑賞者に同じタイムラインを体感してもらう試みとしてギャラリー空間での現地制作を予定している。アトリエであらかじめ完成させた作品だけではなく、現場で偶発する出来事や時間も共有できればと考えている。
文:中島麦 2020年 8月
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