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石板は硬くて重く、クレヨンで擦ってもカチカチと表面で跳ね返され、この相手とはうまく遊べませんでした。
そのうち飽きて、外に出ました。外では、雪山に足跡で描き、海に浸かっては歌い、土を捏ね、木を彫り、動物の皮に描きました。そうやって地球とのびのびと遊び、疲れて帰ってきては、ギャラリーの奥の工房にある、平滑に磨かれた硬く重い石板にひっそりと向かいました。それがなぜなのかはわかりませんが、石は今までどの相手よりも硬かった、という事が一つあるのではないかと思います。
しばらくして石灰岩の塊に、ようやく描けたのは竜巻の形。それはまるである新聞記事のような、かつてこの石が見たであろう嵐の一場面のようでした。
竜巻はその破壊力が話題になりますが、大きく「吸い込み」そして「放出」を繰り返しています。その一連の流れがつくる動きと形状は、私が「地球の画材」で遊ぶ時ととてもよく似ています。体の中の逆円錐形のバネが、外気と摩擦を起こして跳ね廻りだす。たくさん吸い込んでいくのに、外へ外へと出ようとする、そのような毎日が続いています。
鴻池朋子
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