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宮川ひかるのボディー・カッティングの写真作品はジュネーブで行われたプロジェクトに使われたもので、自身の身体にブランドイメージをカッティングするというものでした。その身体化された装飾は、モードに対する究極の願望を体現したものとして衝撃をもって受け取られました。
近年はタトゥーをシミュレーションした作品を多く発表しています。
背中のタトゥーを取材し、モチーフを刺繍や写真などのメディアに表現していきます。
背中のタトゥーは見ることは出来なくても当人にとっての守り神であり、生命を育む太陽とおなじです。宮川は背中のタトゥーのような、見えないものを見るためのものに転換することで、そこにひそむ根源的テーマを提起します。
初期の自身のボディー・カッティングから他人のタトゥーへと対象が変わっていることに、作者のまなざしが逆方向を向いているようにみえますが、身体性に内在した不可視の領域を窮めようとする宮川のアートに変わりはありません。
塩入敏治(アートコレクター)
今回で3度目となる東京での宮川ひかる個展は、「Glittering」と題し、ひかり輝くことをテーマに、新作と旧作を交えた展示となります。
人は誰しも、輝くものに魅せられ、酔わされ、自らも輝く存在になることを望みます。また、そのような願望は、社会的に輝くような人を生み出すこともあります。
歴史的に振り返るなら、近代から現代におけるファッションのイメージでは、ダイヤモンドのような尖ったキラキラ感を見る事が出来ます。貴族社会やブランディ ングで追求された輝きは、身体の統制と管理によって磨かれ、その優雅さとは裏腹に、常に命がけで演出されていたのかもしれません。
一方、 身体性に強く根付いたプリミティブな社会では、神聖性を重んじる祝祭日にこそ、華麗な化粧や装いによる豪華なデコレーションが施されます。それは身体的感覚を通じての経験であり、人間自身の中に存在する光を感じる事かもしれません。そのような内なる光は我々の生きる渇望を促しているようです。
今回の展示では、痛みの恍惚感とともに施されたボディカッティングの曼荼羅、ジェルネイル&グリッターで描かれた痛ネイル写真、路上の酔っぱらいが落とした 割れたビール瓶から発想を得たインスタレーションなど、陶然たる輝きを認知する事から生まれるユーフォリアを掲示出来ればと願います。
前回の個展『Fleshing』(@TRAUMARIS|SPACE 2014年5月21日(水)~6月8日(日))
に続き、身体的感覚の探求にモードや装飾の華やかさを盛り込んだ『Glittering』を是非ご高覧下さい。
作家プロフィール:
宮川ひかる Hikaru Miyakawa
1976年 名古屋生まれ
2005年 フランス・グルノーブル美術大学卒業
2007年 スイス・ジュネーブ美術大学修士課程修了
http://www.hikarumiyakawa.berta.me/
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