<スケジュールに関するお知らせ>
● オープニング・レセプション:1月13日(金) 18:00-20:00
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野生の衝動
偏愛とまでは言わないが、とにかく植物のことは気になってしかたがない。子供の頃から植物図鑑は放せなかったし、今、街を歩いても、アスファルトの路面を割って顔を出す草があれば、必ず覗きこんでしまう自分がいる。
そんなわけで、村山修二郎が直接、生の植物を画布にこすりつけて絵を描いていると聞いて、押さえがたい興味をもった。描かれる瞬間の、鮮烈な色彩と立ち上る芳香...。これはかなり、野生の衝動に駆られた行為である。われわれが普段忘れたふりをしている、あの説明もつかない野生の衝動だ。
われわれと植物の関係は長く、深い。今は、自らの在り方を問い直すためにも、再び植物たちとの豊穣な関係に立ち戻るべき時だが、村山の仕事はそのための、ささやかだが信頼に足る、はじめの一歩ではないだろうか。
芹沢高志(P3 art and environment統括ディレクター)
この度、3331ギャラリーでは村山修二郎の個展「育てる絵 - 緑画からの発信 - 」を開催いたします。
幼少期を自然の近くで過ごした村山は、10代後半になると河原で植物を採取し、細密画を描いていた。
その後大学に進んでからも、植物をモチーフにした作品の制作を続け、一貫したコンセプトのもとさらに制作を進めたが、20代後半には一時「植物」から離れる時期もあった。
30代に入り都心に住まいを移したのをきっかけに、その自然が身近にない状況 - 「自然の不在」が、幼少期の草の感触、香り、土を踏みしめた記憶をより鮮烈に呼び覚まし、その後の制作の方向性に大きな影響を与えた。
自身の植物の記憶をたどり、アートと植物と自分自身を結びつける・・・「緑画(りょくが)」はそういった背景で生まれた手法である。
実際の植物を用いて描かれた作品は生きており、私たちはその作品を前にして「鑑賞者」ではなく「共存体」になる。人と自然の関わり方について、さまざまな考察や検証がなされる今、村山の作品は静かに、しかし絶対的な生命力の強さと共にその根源的な在り方を投げかける。
作家の身体を通して振幅する植物の煌めきを、新しい年の始まりに是非感じて頂けますと幸いです。
村山修二郎
1969年東京都生まれ、2011年東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻壁画在籍。
生の草花を手で直接紙や壁に擦り付けて絵を描く。村山が新たに生み出し形式化した絵画手法「緑画(りょくが)」である。植物に内在する根源性をつかんだ表現として唯一無二。地域活動としては、植物と地域をキワードに様々な企画も行っている。
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