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ドイツ在住のアーティスト、千葉麻十佳は今年8月、制作のため約1カ月間、アイスランドに滞在しました。大西洋の北に浮かぶアイスランドはマグマがつくった火山島。千葉は特殊なレンズと太陽光のエネルギーを利用して、かつてマグマだった、その土地の火山岩を溶かし、一瞬の間、まばゆい赤をよみがえらせました。
強固なものの代表であり、人々の生活の土台である岩石が溶けた姿は視覚的な衝撃を与えるとともに、地上のあらゆるものがもとは違う姿だったことを想像させます。そして岩石を溶かす行為自体が、自然を作り変えてきた人間の行いも示唆しています。今回の個展では、表面を溶かした岩石と、ドイツなどで火山岩を溶かす過程を撮影した写真を合わせて展示し、「石がゆらぐとき」を表現します。
アイスランドでは地層がむき出しの山を見つけ、ふもとから山頂付近にかけて地層の段階的な撮影もしました。その写真は、ある地層ができた後に環境が大きく変化し別の地層ができたこと、すなわち時間の経過とともに大地が多様化したことを物語っています。千葉はこうした作品を通して、鑑賞者の思考を地球レベルでの時間、空間へと促しています。
千葉麻十佳(ちば・まどか) 1982年北海道生まれ。2007年東京芸術大美術学部彫刻科卒、サロン・ド・プランタン賞と平山郁夫賞を受賞。09年東京芸術大大学院彫刻専攻修了。09~10年ベルリン芸術大留学。11年前橋アートコンペライブ銅賞、12年同森村泰昌賞を受賞。現在ドイツ在住。
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