<スケジュールに関するお知らせ>
Gallery OUT of PLACE TOKIOでは、12-1月期の展覧会として内山聡による個展「stripe(s) 」(mixed media)を開催いたします。
内山はこれまで「平面絵画とは何か?」を問い、この15年作家活動を続けてきました。同時に、決して高度な技巧を要さず、ひたすらに単純作業を繰り返すこと、労働として関わった時間が集積して物質化されるものが、美術作品になり得ることを提言してきました。
例えば、「It's growing up」(2009~2015)では、10色の紙テープを無作為に選び取り、ただひたすらに巻き続けた作品や、エアセルマットの無数の気泡に絵の具を注入したシリーズ「injected painting」(2014~2017)など、果てしない単純労働の積み重ねが美術となり、それらをあえて平面絵画として発表することを続けています。
今回発表する「stripe(s)」も同じテーマのもと制作されています。様々な色の糸を作家自身の両腕を広げた長さに切り、支持体に何万本も単に括り付け垂らした状態を作品として展示します。
それらは今後も無限に続く作業の、ある段階に過ぎないのかもしれません。この機に内山の「平面絵画」をぜひご高覧ください。
【Artist statement】
stripe(s)
絵画は物質的に具体的な存在である。その具体的な形式、存在、歴史の上に、私の身体行為がどのような抽象性及び新しさを帯びさせることができるのだろうか。
私は絵画という物質が立ち上がる「条件」に注目している。
例えば多くの絵画は何故か矩形であり、見やすい高さで壁に掛けられ、作者が絵の具を用いその前方で何らかの運動をしている。その他多くの絵画の「条件」は作者、鑑賞者、画材の選択、展示方法、物流、保存などの人間の身体や社会構造に起因している。
もし視覚のみを中心に「描かれている世界を見る」という絵画鑑賞が行われるのが習慣とするならば、絵画の多くの「条件」は習慣の中に密やかに眠っていることになる。しかしその習慣は全てではなく一部である。
私の絵画作品はその「条件」をある地点で満たしつつ、そこに至る過程においては、他とは違う順番や方法、時間、形で制作している。私の制作は、絵画の「条件」の存在を感じさせつつも眠っているそれらを覚醒させ、物質的、身体的に他とは違う「条件」を際立たせる行為である。
今回発表する「stripe(s) 」作品では、
●私は色材として糸を用いている。
●糸には9色のカラーバリエーションと支持体として用いる黒い横糸で計10色がある。
●両腕を目一杯広げた長さ(中には肩幅をイメージしたものもある )で9色の糸を切り、3本ずつ纏めた糸を黒い横糸(支持体)に括り付けていく。
●3本の糸は、規則性なく組み合わせられたものになっている。
●糸という素材の特性も相俟って、上記の行為が繰り返され集積していき、結果として垂直方向に矩形の平面が生まれる。
●制作日の体調や気分、着ていた衣服の厚みなどにより腕を広げた長さ、あるいは切られた糸の長さにはばらつきがあり、矩形の下辺は不揃いの状態になる。
私の制作は、絵画の中の物質的、身体的な「条件」を基盤にすることで、習慣を疑い、拡大することを目的にしている。
文:内山聡\
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