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「相舞う絵画」
佐々木浩一の作品に現れる形象には、作品に対峙する私達の視線を、果てしなく大きな外周へ誘う。それは私達の知覚しえない事象の存在を予知させ、
退化した感性を呼び覚ます。意味や結果・答えをすぐに求め過ぎる態度を純化させ、その一方的な思考にもう一つの選択を与える。
その意味で、佐々木の絵画は、鑑者の視線をゆるやかに純化・変容する「相舞う絵画」と言えるのではないか?
能で二人以上の人が同じ舞いをすることを「相舞」という。環境的に同期するお互いの意識や態度が精神的調和を生みだし、いつの間にか舞うこと自体がもう一つの環境となっていく。しかし、どちらかが意識的に「相舞う」事を仕掛けどちらかが受け止めなくてはその同期は生まれない。「相舞」は、相反する意味を打ち消すような「曖昧」ではなく二つ以上の価値が並列したことで起こる調和であり、さらに大きな外周を知覚する感性を共振させる。
「相舞う絵画」における視線の共鳴は、大江健三郎の「あいまいな日本の私」を想起させ、拡張しすぎる私達の社会に静かに警笛を鳴らし続けているのではないか?
中村政人(アーティスト、3331 Arts Chiyoda 統括ディレクター、東京藝術大学絵画科油画 准教授)
作家プロフィール:
佐々木浩一
1973年 東京生まれ
2000年 東京藝術大学大学院美術研究科修了
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