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元田久治は、1973年熊本県に生まれ、幼い頃から古びた神社やひび割れた古いレンガなどを好み、モチーフに選んでは描いていました。1999年に九州産業大学芸術学部を卒業後上京し、2001年東京芸術大学大学院絵画(版画)専攻修了。今回は公共彫刻をテーマに、人の手によって創り上げられた物体が自然に近づいていく風化の過程を、版画作品としてではなく絵画作品として創出することを試みました。作品の彫像部分のみ、あらかじめ銀又はアルミの箔を貼った紙にリトグラフで刷ったものから、更に彫像の形に切り抜きコラージュし、その上からドローイング又はペインティングにより植物がゆっくりと時間をかけ増殖するイメージを精細に描き出しています。例えば、新作絵画「Foresight:Statue of Saigo Takamori 1」は、箔の上から版画で彫像のイメージを載せたあと、背景は水彩で着彩され、彫像に植物が覆い繁るように描かれています。これまでの版画のモノクロームの世界とは異なり絵画作品は色づきます。
それはリトグラフ版画で表した人工物と手で直接描かれた自然物の対比が織りなす美しい光景とも言うことができるでしょう。単なる彫像(Statue)が、時間の経過により集団的記憶を伴った記念碑(Monument)として立ち現れた風景でもあるかのようです。
これまでの版画作品では、建物の風化の度合いをずっと考えて描いていたのに対し、今回の絵画作品では公共彫刻に蔦が覆い増殖していくため、前者とは対照的な表現をしているようでもあると元田は言います。それはつまり風化というものが、朽ちていく過程だけではなく再興の始まりそのものでもあり、そこには再生・息吹といった先見の明を感じられるでしょう。
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