<スケジュールに関するお知らせ>
アーティスト:鈴木泰人、星田大輔、村上郁、渡辺望
光なくして、人はものをみることができません。それゆえ、人は光を創り出し、闇を照ら
すことで文明を発展させてきました。私たちの身の周りには、太陽などの自然光から、ろ
うそくや LED などの人工光まで、さまざまな種類の光が存在しています。このような視覚
を生み出す光は、美術においてもきわめて重要な要素として扱われてきましたが、20 世紀
になるとダン・フレイヴィンやジェームズ・タレル、オラファー・エリアソンなどの作品
にみられるように、作品の素材としても重要な役割を担うようになりました。
光は網膜に到達すると視神経によって情報となり、脳に届くと視覚となります。また人が
ものをみる時には、光の明るさだけではなく、その質も知覚しています。つまり視覚とは
網膜が光に触れることによって触感を得るシステムであると言えます。この触感としての
光は、人の感性に直接的な影響を与え、個々人の心の内に豊かな広がりを持って立ち現れ
ているはずです。
昨今、白熱電球などへの規制に対する関心が高まっています。20 世紀末に発光効率が良い
新しい光源、LED が実用化されてから、環境問題への意識の高まりとともに、慣れ親しん
だ白熱電球や蛍光灯の生産は世界的に縮小をはじめました。日本では政府がメーカーに対
して自主的な生産中止を要請したことで、現在では多くの大手メーカーが家庭用白熱電球
の製造を終了しています。2011 年の福島原発事故後は、より緊急の課題となった省エネ対
策のために一層強い働きかけがなされました。その影響が、いよいよ身の回りの光環境の
変化として現れてきました。
エネルギーやそれに伴う環境問題は世界的課題のひとつです。しかし、照明のエッセンス
は消費電力だけではありません。ひとつの面だけをみて照明のもつ多様な役割を奪うこと
は、照明による表現の可能性をも喪失させる危険性を孕んでいます。本展では、鈴木泰人、
星田大輔、村上郁、渡辺望の 4 名のアーティストが、それぞれ異なるアプローチを通して
照明の光を提示します。彼らが表す光はどのような質感を持って私たちの心に触れるので
しょうか。現代における人々と照明との関わりを見直すと同時に、美術作品としての照明
のありかたについて、作品とともにトークやパフォーマンスイベントを交えて検証します。
【イベント】
オープニングパーティー &トーク| 4月29日(土・祝)17:00--
クロージングトーク&パフォーマンス | 6月3日(土)15:00--
ゲスト:成相肇 氏(東京ステーションギャラリー学芸員/美術批評/基礎芸術)
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