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河合真里は、はっきりとした色と形を用いながら、平面上にしかない架空の存在を描き出すペインターです。一つの画面に一つだけ(複数であっても少数)描かれるモチーフは、人型の埴輪のようなものであったり、動物の骨かネコの手のようなものであったり、なじみがありそうでないものばかり。両義的でときにはキッチュにも見えるイメージは揺れ動きつつ存在感を発揮しています。
河合の絵画は、対象を見てそっくりに描いたものでも頭の中のイメージを写しとったものでもありません。既存のイメージを借りたうえで、描いては見て、見ては描いてを繰り返す中で生み出したものです。そのような制作には、手作業を前提としている点で、絵画の本質である「媒介性」が際立っています。
そして、多くの作品に共通する、ゆるやかな曲線の親しみやすさや静的な平面性にも特徴があります。衝動に走らず、陶酔せず、時間をかけて最後は理性的にまとめ上げる。そんな個性とスタンスによって生まれた作品には目を奪うようなインパクトはなくとも、じわじわと効いてくる刺激にあふれています。新作の油彩画約10点を出品予定。
河合真里(かわい・まり) 1987年兵庫県生まれ、2012年武蔵野美術大大学院造形研究科美術専攻修了。同年トーキョーワンダーウォール準大賞を受賞。
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