神山亜希子展　「Lyrical Drama」

このたびBambinart Galleryでは、神山亜希子による個展"Lyrical Drama"を開催いたします。

神山亜希子（1988年、栃木県生まれ）は、学部２年より版画を専攻、大学院修了時にはエッチング、ドライポイントで制作した作品群を「It passes」と題し発表しました。一見、墨で描いたようにも見えるモノクロ１色の濃淡で埋め尽くされた作品は、具象と抽象の入り混じった叙情的抽象と呼べるものでした。また退廃的で終末の光景を思わせる場面の数々は、激情的な線描で描かれ、「タシスム」を思い起こさせました。

それら銅版画の作品に対して、本展でも発表の中心となる新作ドローイングは、一転してカラフルな作品が多いものの、決して明るく華やいだ印象ではありません。神山は、実際に見た景色だけでなく、イメージを増幅させ、実際には存在しない叙情的な光景を主に描いています。そこに描かれた人物は、ただ座っていたり、誰かと一緒にいたり、洗濯物を干していたりします。はっきりと表情が描かれない人物像からは感情を読み取ることができず、カラフルな色彩で描かれているにも関わらず、不穏な空気を生み出しています。

本展では、人々の普通の営みを目にする中で、作家がふと感じた本質や普遍性を留めようと描いた新作ドローイングを中心に、銅版画、木版画を発表します。

どうぞご高覧ください。