<スケジュールに関するお知らせ>
「日々の明々後日」における、若い作家とキュレーターが共に展示・イベントを企画し、発表するシリーズ"STUDY ROOM"。5回目となる今回は、武蔵野美術大学大学院油絵コースに在籍中の林由宇子氏をゲストに迎え、展覧会を開催致します。 林氏にとって初めての個展となる今展覧会では、「やわらかな境界」をテーマにした油彩画を展示致します。また展示期間中、滞在制作も行う予定です。
林氏は、わたしたち人間は日々の時の流れの中で、様々な事物と接し、身に覚えなく様々な物質を体内に取り入れ、それらを吸収しながら存在しているのではないかと言います。わたしたちは、地に育つ植物や様々な動物の肉を食べ、空気を吸い込む。日の光を浴びたり、風を肌で感じ取ったり、時には天から降ってくる雨に体を濡らしたりもする。わたしたちは、「わたし」ではない物質を体内に取り込み、その様々な要素は次第にそれぞれの特徴を消し、「わたし」の一部となっていく。
しかし、また、その植物や肉や空気でさえも、もとを辿れば違う物質であるかも知れません。きっと、世界のすべてのものは同じ根源を持ち、それぞれに混ざり合いながら形を変え、存在しているのでしょう。時間の進行の中で"存在"を示す「ある、いる」という行為は無意識的に連鎖し、繰り返し、繋がっていく。「わたし」も、わたしを作る様々な要素も、あるいはわたしを取り巻く環境のすべてが、はっきりとした境界線を持つことなく、ともに共存しているのかもしれません。
彼女の絵画作品に描かれるそれぞれのモチーフは、一瞬の時を捉えるのではなく揺れ動き、そのものが持つであろういくつもの「在り方」の可能性を感じさせます。それゆえ、描かれた物が何であるかはっきりと言い当てることは難しく、「なにかに見える」と言い表すのが良いのかもしれません。それらは、個々の物質の境界線の儚さや脆さについて考えさせ、目に見える姿だけが存在を表すものとは言い切れないのではないのか、と問いかけてくることでしょう。
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監修:日比野克彦
企画:『日々の明々後日』企画運営室
協力:株式会社ムラヤマ
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