岩崎貴宏：アウト・オブ・ディスオーダー（白い山脈）

◎アーティスト：岩崎 貴宏
1975年広島生まれ。05年エジンバラ・カレッジ・オブ・アート大学院修了。2007年の旧中工場アートプロジェクト「ゴミがアートになる！超高品質なホコリ」展を企画担当、また2009年の広島アートプロジェクト「いざ、船内探険！吉宝丸」展では企画リーダーを務める。主な展覧会にヨコハマトリエンナーレ2011（横浜美術館、横浜）、第10回リヨンビエンナーレ「日常のスペクタクル」（リヨン、フランス）、「日常の喜び」（水戸芸術館現代美術センター、茨城）、「六本木クロッシング2007 未来への脈動」（森美術館、東京）。見慣れた日用品に手を加えて、ミニチュアの風景を想起させるインスタレーションを発表。広島在住。

左上：Out of Disorder (Futon)
右上：Out of Disorder (Cosmo World)
下：Out of Disorder (White Mountains) ドローイング

◎出品作品詳細：
アウト・オブ・ディスオーダー（白い山脈）　Out of Disorder (White Mountains)
布、織物　Cloth and Fabric

大量の布がケース内に所狭しと収まっているのが見えます。無造作に積み重ねられた洗濯物の山のようなこの作品は、よく見ると精巧に作られた、小さな鉄塔や電波塔が所々建っていることに気付きます。この鉄塔に気付いた途端、乱雑な洗濯物の山が、雪に覆われた大きな山脈に見えてきます。偶然出来たであろう布の皺や重なりが、実際の山々の襞に見えてきます。この鉄塔をよく見ると糸の色や、太さがそれぞれ違うことに気が付くでしょう。実はこの鉄塔、その鉄塔が建っているそれぞれの布をほどいた「糸」から作られています。また一見、白い布の塊だと思っていたものも、白は白でも多様な白色が見え、表面も様々な模様や質感の違いがあることに気付きます。それは、実際の山にも多様な植生があること思い出させます。１年間、この理科室の標本のようなガラスケースに入れられた、日用品の中のミクロコスモスをお楽しみください。

協力：アラタニウラノ
http://www.arataniurano.com/